K N B vs. K Part6


新たなアイデアが出てくるたびに続くこのシリーズ。
前回は下図のように、ビショップと同色の4マス、5マスラインの
外側に相手の単独キングを追いやっていくという方法でした。
その方法も使いつつ




今回は 白の単独キング( 以降、白キングと呼びます )周辺の4マスを
意識しながら、白キングを後方へ追いやっていく、という方法です。


白先手


白キング周辺の4マスを考える前に、まず、センターの4マスを考えます。

目標1  センターの4マスから白キングを追い出す。
目標2  センター16マスから白キングを追い出す。

が始めの目標になります。


1.Kc5


白は lichess のサイトのコンピューターで、私は黒側です。
チェスエンジンの分析を見てませんので、黒は常に最善手ではないですが
考え方を見ていただければと思います。

白キングは初手に、センター4マス内に入りませんでした。目標1の通り
白キングをセンター4マスから追い出すためには 1...Ke4 とすれば
白キングはセンター4マスに入れません。

黒キングを白キングに近づける 1...Ke4 は簡単に思いつく手ですが
4マス内で、支配しているマス、支配してないマスを意識するのが
ポイントになります。



どういうことかと言うと、赤枠で囲っている4マスで、黒はすでに e4 と d4
を支配してますが、e5 と d5 は支配してないため、そのままだと白キングが
e5 d5 に移動してきます。

よって 1...Ke4 で4マス全てを支配すれば、白キングは e5 d5 に入って
これないという考え方です。


1...Ke4 2.Kc4


今度はセンター16マスの外側に白キングを追い出します( 目標2 )。
黒キングだけでは白キングをピンクラインの外側に追い出せないため
ナイトかビショップを協力させる必要があります。



そして今回のメインアイデア、白キング周辺の4マスで、支配しているマス
支配してないマス、に注目します。

黄色ラインの4マスで、d4 d3 を黒は支配してますが、c4 c3 は支配してない
ため、黒は c4 c3 を支配することにより、黄色4マスから白キングを
追い出せます。



ただし、こちら側の4マスも見る必要があり、同様に考えると黒は
c5 c4 をピースで支配すれば白キングを黄色ラインから追い出せます。

c5 か c3 の黒マスはナイトで支配する必要があるため、Nh1 → f2 → d3
で c5 を支配することを考えました。

※ 黄色ラインから追い出すことよりも、センター16マスの外側に追い出す
ことが優先事項です。また、16マスの外側に追い出しても、再び16マスの
中に白キングが入ってくることを防ぐようにします。


2...Nf2 3.Kc5


3...Nd3 としなくても 3...Be2 とすれば白キングを黄色ラインから
追い出せるようになります。

白の防御策としては、センター16マス内にとどまった方が良いため
3...Be2 には 4.Kd6 か 4.Kc6 となりそうです。

4.Kb4 などと、16マスの外側に出た場合は 4...Kd4 で再び白キングが
16マス内に入ってくるのを防ぎます。


3...Be2 4.Kb4 Kd4 5.Kb3


白キングを16マスの外側に追い出したので、今度は青色ラインの外側に
追い出したいですが、この辺はミスしやすく、再び白キングが16マス内に
戻ってしまうということがあるかもしれません。
失敗を経験しつつ練習あるのみ。



ここでもやはり、白キング周辺の4マスで考えます。慣れてくれば4マス
でなくとも、白キング周辺のマスで考えられるようになると思いますが
始めは4マスで考えた方が分かりやすいです。

5...Nd3 とすると白キングを黄色ラインから追い出せますが白キングが
c2 → d2 と逃げそうに思ったので、5...Bd1+ としました。



こちらの4マスで考えると、黒は c3 しか支配してません。
5...Nd3 とすると 6.Kc2 から d2 に逃げられそうです。

5...Bd1+ なら 6.Kb2 となっても 6...Kc4 が有効です。


5...Bd1+ 6.Kb2


自分的には 6.Kb4 とされた方が困ったのですが、コンピューターは
6.Kb2 としました。白キングをメイトするには h1 か a8 の白マス
に追いつめていく必要があるため、6.Kb2 の方が手順が長くなるという
ことだと思いますが、ナイトを W の形に動かしていくパターンを知って
いるなら、白キングがメイトできない角マス( h8 a1 )に向かうことは
問題ありません。

上図に表示されているように、白キングは赤丸の4マスラインの外側に
追い出され a1 の方へ追いつめられて行きます。


6...Kc4 7.Kc1 Kc3 8.Kb1


すでに白キングはビショップと黒キングで閉じ込められてます。
この状況から黒キングを動かしてしまうとパターンにはめられないので
ビショップとナイトを動かしてパターンにはめていきます。

ビショップは h7 → b1 ラインか、g8 → a2 ライン上に持っていきます。
ナイトは c2 か b3 に運び a1 を支配させます。

上図では Bb3 とすることが有効で、そうなるとナイトは c2 に
運びます。途中ステイルメイトに気をつけます。


8...Bb3 9.Ka1 Nd1




10.Kb1 Ne3


あと少しでパターンにはまりますが、白キングの動きによってビショップと
ナイトの動かし方が異なるため、注意が必要です。

11.Ka1 なら 11...Nc2+ 12.Kb1 Bc4 13.Kc1 Ba2 ですぐパターンに
はまりますが、11.Kc1 には注意が必要です。

11.Kc1 Nc2? 12.Kd1 となると面倒なことになります。
11.Kc1 には 11...Bc4 12.Kb1 Nc2 13.Kc1 Ba2 でパターンにはめた方が
良いです。


11.Ka1 Nc2+ 12.Kb1 Bc4 13.Kc1 Ba2


これがナイトを W の形に動かしていくパターンの starting position に
なります。ここからはパターン化してますので、メイトまでの手順は
K N B vs. K Part1  をご覧ください。 

今回の、白キング周辺の4マスに注目する方法は、完全な方法ではないですが
単独キングを端列に追いやっていくのに、かなり有効に感じました。
また、新たなアイデアが出たときは記事にします。

→ K N B vs. K Part7

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