何手先まで読むか? チェスをする人なら必ず考えることの1つです。マスターレベルになれば読みの長さや正確さが中級者とは大いに異なるでしょうが、R 1800 ぐらいまでのプレイヤーならどれぐらい先まで読めば良いか個人的に思うことを述べていきます。
2手先まで読むのが基本
自分が指す手に対し、相手の応手を考え、その応手に対して自分が指す手( A ) を考える。
ここまでしか読まないと、A の手に対して相手の思わぬ応手があって不利を招いてしまうということが結構あります。
3手先の相手の応手を考えずに不利になることは R 1800 ぐらいまでならそう多くはないでしょう。
むしろミドルゲームに進んで集中力が落ちてきた時や、何かに気をとらわれている時、1手先、2手先の相手の応手を考えず不利になるということが多いでしょう。
相手の応手を考える時は、自分にとって都合のいい手しか考えないのはダメです。相手はこう指してくるだろうと思い込むと、見落とす応手が出てきます。相手にとって最善の手を考えなければ
なりません。
難しいのは、1手目の候補手、1手目の応手、2手目の候補手、2手目の応手、いずれもいくつかの手が考えられるため、混乱したり、見落としが出てきます。それでも2手先までは読むことを習慣づけると良いでしょう。
どんな手に対しても2手先まで読んでいると、Live Game では持ち時間の消費が多くなってしまうため、状況によって読みの長さや多さを調節する必要があるでしょう。
オープニングで定跡を知っているなら2手先まで読まずに指すこともあるでしょうが、知らない変化になった場合は少なくとも2手先まで読んだ方がいいでしょう。
長く先を読むことよりも、1手先、2手先の応手を考えず不利を招くことを避けること、駒損を防ぐこと、Tactics や Strategy などを考えること、の方が重要だと思います。
R 1800 までなら3手先まで読むことで大抵 大丈夫でしょう。1手先に進んだらそこから3手先を読めば十分な気がします。駒損したり不利な状況にならないならば、1手先、2手先に進んでから考えることで問題ないでしょう。不必要に長く先まで読もうとすれば持ち時間を多く消費し、それがタイムプレッシャーにつながる可能性があります。
ただし、サクリファイスする時は、少なくとも互角以上の局面になるまでは読む必要があります。
また、サクリファイスした時は相手の応手を見落とし不利となることが多いので、十分気をつける
必要があります。
エンドゲームになると、1手のミスが勝敗を変えてしまうので7~8手ぐらい先まで正確な読みが必要とされることもあります( もっと長い読みが必要な場合ももちろんあります)。
複雑な局面であれば3手先を読むのも難しいですが、単純な局面で7~8手先を正確に読めさえ
すれば良い結果を得られるなら、読み切らねばなりません。
参考例 黒先手
黒は正しい手を指せばドローにできるので正確に先を読まなばなりません。
候補手としては
1...h6+、1...Kh8、1...Kg8、1...Kf7、1...Kf8 の5つ
候補手が多いのでこれを正確に読むことは容易ではないでしょう。このような局面で 1...h6+ のようにポーンを先に進めてしまうのは良くないことを知っていれば 1...h6+ は考えないか、後で考えることにできます。
さらに白が勝つためには白キングが h6 にくることを知っていれば
1...Kh8 2.Kh6 Kg8、1...Kf7 2.Kh6 Kg8、1...Kf8 2.Kh6 Kg8 は同じになるため、3つの内1つを
考えれば良いことになります。
1...Kg8 2.Kh6 Kh8 は上記3つとは異なるため別途考える必要があります。
1...Kg8 2.Kh6 Kh8 でオポジションの状態になります。白は2つのポーンを h5 と g5 まで進めてきて、g5 → g6 とする時、黒キングが h8 にあると勝てます。
先の局面
本来はこの局面を頭の中でイメージせねばなりません。
この局面から
g6 hxg6、hxg6 Kg8、g7 Kf7、Kh7
g6 Kg8、g7 Kf7、Kxh7
いずれも白が勝てます。よって上図の局面になった時、白先手になることを黒は避けねばなりません。それを始めの局面から読み切る必要があります。
黒がドローにするには 1...Kh8 と 1...Kg8 どちらが正解かこの局面から読み切りましょう。
下記は 1...h6+ とした場合です。白は勝てるようになるのですが、ミスをしやすいです。
参考文献
100 Endgames You Must Know - Jeses de la Villa
コメント
仮にすべての変化を読むとすると、手数が進むごとに読む局面は指数級数的に増えていきます。
ですから、かなりの量を「枝刈り」する必要が出てきます。
人間なら、ゲームを重ねて得てきたパターン認識能力を使うことになると思うのです。つまり直感的に予め読む手を省略するという作業です。
過去のゲームの経験から養ってきた直観能力によっては、意識的に読む手を大幅に省略できると思うのですが、そんな考えだから私はunder1800なのでしょうね(^^;
最近は何手先まで読むかはあまり気にならなくなりました。2手先まで読めば大抵大丈夫な場合、サクリファイスした時、エンドゲームで読み切る必要がある時、など状況によってどれぐらい読む必要があるか分かってきたからです。マスターからして見ればそれでは不十分と思われるかも知れませんが、今のところそんな風に思ってます。
むしろ今でも1手先、2手先をよく読んでおらず不利を招くことが多いので、そちらの方を気をつける必要があります。
何手先まで読むか考える時、どの手を読んで、どの手は読まないかの判断も大事ですね。私の場合は視野が狭くなり、見落としている手が多いため、普段 Tactics 問題を解くときなど、可能性のある手を探すようにしてます。
直感の重要性はよく言われますね。普段は無意識に直感を使っているのかも知れませんが、直感を使っていると感じるのは、経験やパターン認識から、この手が良いのでは? と思って指す時でしょうか。
R1400 が中級者へ向かう段階だとすると、R1800 は上級者へ向かう段階だと思ってます。自分が R1900 や 2000 の上級者になってみないとその段階における見方というのはまだ分かりません。どのような見方になるか楽しみです。
上級者になれるかどうかということは考えません。もちろん目指している訳で、どうしたら上級者になれるかということを考えることもできますが、今は何を勉強していきたいかということを優先させてます。上級者になるための勉強というのは私は嫌ですが、自分が勉強したいことをして、それでどのようになるかといったところです。
マスターはよくハードワークが必要と言われますが私はハードワークは嫌です^^; しかし勉強することは楽しいですし、学ぶことはチェスにおいて1つの楽しみだと思います。