2つのテーマ


駒数が少なくとも難しいエンドゲームの局面は多く、そのような局面で

どう考えたら良いか?
なぜ混乱するのか?

の2つのテーマについて考えていきます。


参考局面  黒先手


Total Chess Endgames のアプリに出てきた問題です。
分析に Shredder の Endgame Database を使いました。

簡単ではありませんが、実際にありそうなこのような局面から
黒がどのようにしてドローにできるか?

分からなかったとしても、「どのように考えたか?」を覚えておいて
記事の先に進んでください。

ちなみに白ポーンは下方向に進む状況です。エンドゲーム問題あるあるで
ポーンの進む方向を間違えることあります。



どう考えたら良いか?

参考局面  黒先手


どのように考えられたでしょうか?
以下は自分の考えたことで、正しい方法というのではなく、あくまで1つの
参考です。

黒の初手を最初に考えるのではなく、白がどうなったらポーンを昇格できるか
を考えてみます。

ビショップの利きが b1 に及んでない場合、b7+ から b8=Q で昇格するので
黒はこれを阻止したいです。

次いで下図のような状況になればポーン昇格となりそうです。





いずれも白キングが白マスにあることが1つのポイントです。
白キングが黒マスにあると、ビショップからチェックを受けたり
ピンされるからです。



黒がドローにするためには、先程のようにポーンが昇格する局面に
なることを防ぐ他に、ビショップで2つともポーンが取れる状況に
なったり、 K P vs. K で ルークポーン( a ポーン )が残り、ドローに
なる状況にするなど。

そのようなことを考えてから、黒初手を考えていきます( 自分の場合 )。



さて、黒初手は何がいいでしょうか?
ビショップを動かす手、キングを動かす手。

1...Bd4 は b6 ポーンをピンするので白キングが a8 に行くことを防ぎます。

1...Be5 は 2.b7+ Kd7 3.b8=Q Bxb8 4.Kxb8 Kc6 でドローになりそう
ですが 2.b7+ 以外の手があるため、他の変化を確認する必要があります。

1...Ba5 は 2.b7+ でポーン昇格となるので 1...Ba5 はないと分かります。

他にもビショップを動かす初手はありますが、初手にキングを動かす場合を
考えてみます。



初手にキングを動かす手は 1...Kd7 と 1...Kd8 の2つ。
初手に黒キングを動かすと白キングが b7 に来れますが ビショップが
a5 を防いでいるため、白キングが b7 にきても特に問題ありません。

ただ、2.Ka8 となるとどうなるか? なので初手に黒キングを動かすのは
嫌な感じがします。

1...Kd8 2.b7 Be5 3.b8=Q+ Bxb8 4.Kxb8 は a ポーンが昇格できるように
なるため 1...Kd8 はなし。



1...Kd7 は 2.b7 Be5 3.a5 Kc6 4.a6 Bd6 5.Ka8 となってダメかなと思い
結局 1...Be5 として不正解でした( 1...Be5 が間違いなのを読み切れてない)。


1...Be5??


ここは白もミスしやすく、2.b7+?? だとドローになってしまします。
2.b7+?? がなぜドローになるのか分かるでしょうか?


2.b7+??


2...Kd7 3.b8=Q Bxb8 4.Kxb8 Kc6 の変化は比較的 分かりやすい
ドローですが、2...Kd7 3.a5 Kc6 a6 の変化は分かりづらいのでは
ないでしょうか?


1...Be5??


1...Be5?? の局面に戻ると、2.a5 のみ白が勝てます。
2...Kd7 3.Kb7  2...Be6 3.Ka8 などから。

1...Be5?? で白が勝てるのを読み切るだけでも難しいです。



最初の局面に戻ると、正解は 1...Kd7 のみ。


1...Kd7 2.b7 Be5 3.a5 Kc6 4.a6


この局面を見ても始めは黒の次手が分かりませんでした。
最初の局面から考えたらなおさらかも知れません。
4...Kb5 以降 黒はドローにできます。

正解は分かりましたが次のテーマに進みます。


なぜ混乱するのか?



最善手を追い求めていく中であれこれ考えているうちに思考が混乱して
くることがあります。一般的には、変化が多いと混乱しやすいですが
先の局面を読んでいくには次の2つが関係してきます。

先の局面の駒配置を覚えておけること
先の各局面について考えること

駒配置を覚えておくだけなら容易な感じですが、それでも1手づつ別の駒が
動く変化になると、駒配置を覚えておくのも怪しくなってきます。

そしてなにより、駒配置は覚えていても、その局面について考えているうちに
駒配置を忘れてしまう、ということが起きます。それが先の局面について
考えることの大きな妨げになっていると思います。

例えば通信チェスでは分析ボードを使い駒を動かし、先の局面について
考えられるため、混乱することは少ないです。ただ、それだと駒を動かさずに
先の局面を読む能力が向上しません。

なので、タクティクス や エンドゲームの問題で駒を動かさずに先の局面
について考えるトレーニングは必要になってきます。

個人的にはエンドゲーム問題の方が先読み能力の向上に役立つと思ってます。
難しいタクティクス問題もありますが、タクティクス問題は、駒を取ったり
攻撃する手が多いため、エンドゲーム問題より先を読みやすい感じがします。
タクティクスは気づきづらいという別問題がありますが。

一方、エンドゲームは、駒の動きを考え、さらにその局面について考えて
いかねばならないため、駒配置を覚えておくことと、駒配置を忘れずに
各局面について考えなければならない能力が問われます。

駒配置が分かっていれば、各局面について考えられるため
問題は、駒配置を覚えておくことになってくるかと。

なので、どうしたら駒配置を覚えておけるか? と日々考えながら
エンドゲーム問題を解いてます。( どう考えたら良いかと別に )。

駒数の少ないエンドゲームで、例えば 駒の動きを1,2,3,4 などと
数えながら白黒の駒の動きを追っていくことは、それぞれ1つの駒の動きを
追っていく場合などには役立ちますが、1回ごと別の駒の動きが入ってくると
その方法では混乱しやすくなってくるため、そのような場合は別の方法が
必要になってきます。

自分自身まだこの方法が良いというのがないため、試行錯誤が続きますが
例えば1つの方法として

この局面から 1...Kd7 2.b7 Be5 3.a5 Kc6 4.a6 になった局面を頭の中で
イメージするとき、そこに駒があると分かっていても考えづらいものです。


黒先手


しかし、上図のようにマスの形を見て、そこに駒があると見たらどうでしょう?
頭の中のイメージで考えるより、自分は考えやすいです。
これはイメージしているのではなく、マスの形を見て考えているため
イメージで考えるよりは、その局面について考えやすいのではないかと
思います。


黒先手


1つ前の図の駒配置を覚えて、上図のボードを見て、黒がどうすれば
ドローにできるかを考えて見て下さい。マスの形を駒ととらえるのが
ポイントです。
・・・・ どうでしょうか?^^

何もないボードの上で駒の配置を覚えるのも難しく感じるかも知れませんが
そのような時に「 脳内チェス トレーニング方法 」 のサイトが
役立つように思います。そのトレーニングにより、ボードの構造が分かって
くるため、駒配置を覚えやすくなります。



ちなみに、マスの形を駒として見るのがポイントなので、上図のように
駒を丸のようにイメージすると、それはイメージで考える要素が強くなり
マスの形を見て考えるより、考えづらくなるのではないかと思います。



同様に、そのマスに各駒があるとイメージしたり、駒の形をイメージする
のは、駒配置を忘れやすいように思います。

マスの形を見て考える

先の局面について考える時、1つの方法ではないかと。

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