17...Nd7 の局面
1972 World Championship, Reykjavik ( Game 6 )
http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1044366
Winning Chess Brilliancies - Yasser Seirawan
の本で始めに解説されているゲームです。
この局面で白は次に何を指したら良いか自分で考えましたが、良い手が思い浮かばず、本を見ると 18.Nd4! となっていました。黒 c5-d5 の hanging pawns にプレッシャーをかけるのに Nf3 が活用されてなく、また、Qa3 が c5 ポーンをピンしているのを活用するため Nf3 を再配置する、というものです。
18...Nf6 なら 19.Nb3!
19...Nd7 20.Rc3!
19...c4 20.Qxe7 Rxe7 21.Nd4 a5!
という分析が書かれてましたが、実際のゲームでは 18...Qf8? 19.Nxe6! となりました。
17...Nd7
自分で考えた手は
18.b3、18.b4、18.Bxa6 の3つで 18.Nd4! は全く考えていませんでした。
普段 Tactics の問題を解く時でも、良い手が見つかると大抵その手に気をとらわれるため、他の手に気づかない、他の手を全く考えない、ということが結構あります。
始めに気づいたいくつかの手の中から正解が見つかることも多いのですが、正解したから OK で済ましてしまうと、気づかない手、全く考えない手、というものが常にあると思いいます。
それを改善するため、可能性のある手、ない手を始めにある程度確認しておいた方がいいと思いました。そうすれば視野が広がり、今までなら気づかなかった手に気づけるようになるでしょう。
17...Nd7
チェックする手はない
18.Bxa6
18.Qxc5、18.Rxc5
18.Bb5
18.b4
など。いずれも良さそうな手ではありません。
私の思考はここで停止してしまいましたが、可能性のある手、ない手を考えると
ありがちな 18.b3 だけでなく
18.Rd1、18.Nd4 といった手も候補手にあがります。
18.Nd4 に気づいたからといって、その後も読んでその手を指せるかは別問題ですが、その手に気づかないよりはましで、気づかない手に気づくようになるのは進歩があります。
また、可能性のある手を確認する時は、可能性のない手も確認しています。無駄な手は読まない、とするよりも短時間で可能性のない手を確認してしまいます。
例えば
18.Ne5、18.Ng5、18.Nh4 はこの手はないなとすぐ分かります。
18.Nd2、18.Ne1 は少し考えてみる価値はあるのではないでしょうか?
Qa3 が c5 ポーンをピンしていることは白に都合がいいため、この局面で次に Qa3 を動かすことはなさそうですが、それでも Qa3 を動かす手をすばやく確認するのは無駄ではないと思います。
クイーンは利きが多いためクイーンを動かす好手を見落としやすいです。
短時間のゲームならば、多くの候補手を考えている時間はありませんが、考える時間が十分にあるのなら、可能性のある手、ない手を確認して、気づかない手を減少させていきたいです。
良い手が思いつかないという時は特に有効でしょう。
"hanging pawns:ハンギングポーン。敵Pのないファイルにある連結ポーンで、両脇のファイルに味方Pがないもの。孤立ポーン(→isolated pawn)と似た性質を持つ。 例:白a2-c4-d4-f2-g2-h2、黒a7-b6-e6-f7-g7-h7。c4-d4がハンギングポーンである。宙に浮いているという意味。"
チェス用語小辞典(英和) より
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