8/02/2013

何故気づかないのか?


黒先手


Schmaitz - Vouldis
Fürth 2002

Forcing Chess Moves - Charles Hertan の本に出てきた Tactics 問題。
気づきにくい手があるから難しく、面白い。中級者向きの問題です。






1...Nxf2! 2.Bxf2 Rxf2 3.Qxf2 Ng4! 4.Qxd4 Bxd4+ 5.Kh1 Nf2+ 6.Kg1 Nxe4+ 7.Kh1 Nf2+ 8.Kg1 Nxd3+ 9.Kh1 Nxe1

私は 3...Ng4! に気づきませんでした。Tactics 問題などで気づかないことがあった時、解答を見て「なるほど!」で終わらずに、何故気づかなかったか考えるようにしてます。

今回の場合、何故 3...Ng4! に気づかなかったのでしょう? ただ単に気づかなかったのではなく 
3つのことが考えられます。


1. チェックしない手、駒を取らない手、は気づきにくい

チェックする手、駒を取る手はよく考えますが、チェックしない手、駒を取らない手は気づきにくいです。先の局面になるほどこの傾向は高まります。 3...Ng4! は Qf2 を攻撃する手なので、少し気づきにくいでしょう。


2. key move までの不確定要素


上図は 3.Qxf2 の局面ですが、もしこの局面から考えるとしたら、...Ng4 とする手に気づきやすいでしょう。

これは3手先の局面を上手くイメージできなかったという Visualization の問題ではなく、例えば私は 3...Qxf2+ と 3...Rf8 という手を考えましたが、どちらも黒が有利を得た状況になってないため、それ以上この局面を考えませんでした。

「 この変化はダメそう 」 と思い、別の手を考えてしまいました。




初めのこの局面から、1...Nxf2 2.Bxf2 Rxf2 3.Qxf2 の後、黒3手目は何が良いでしょう? 
という問題であれば、3...Ng4! に気づく人は多くなるはずです。

つまり、key move の 3...Ng4! までの手順に不確定要素がなければ、「 この変化はダメそう 」 という迷いがなくなるため、正解しやすくなるのです。裏を返せば、key move までに不確定要素があると迷いが生じやすく、key move に気づきづらくなる、ということです。


3.手数が長くなるほど多くの変化を考えなくなる

何故なら、数手先の局面で多くの変化を考えるのは、大変であり、混乱する、からです。

例えば1手目は5つの候補手を考えたとして、その内の1つの候補手から2手目の変化は恐らく2つか3つの変化を考え、3手目では2つの変化、4手目では1つの変化しか考えない、というように手数が長くなるほど多くの変化を考えなくなる傾向があります。

3.Qxf2 の局面


前述のようにこの局面から考えるなら ...Qxf2+、...Nxd3、...Ng4 など考えるでしょうが、これが3手先の局面だとすると、...Qxf2+、...Rf8 などの手を考えても Ne5 を動かすことに気づかなければそれ以上他の手を考えなくなる可能性が高いです。




「 何故気づかなかったか? 」 を考えれば、「 どうすれば気づけたか? 」 を考えるようになります。

3...Ng4! に気づくためには、普通に気づくか、Ne5 が無ければ Qxd4 Bxd4+ でクイーンを取り返せることに気づけば、Ne5 を動かすことを考えるでしょう。


2 件のコメント:

Walrus さんのコメント...

 ちょうどタクティクスについての記事を書き終わったら、hitsujyunさんもタクティクスの記事を書かれていたので驚きました^^;

 この問題にしてもそうですが、長いラインのバリエーションを読むための能力が身についたらと思います。

 hitsujyunさんが記事で述べられているとおり、読みを妨げる要素というものは確かにあると思うのですが、それ以前の問題として4手先あたりから視覚化が非常に不正確になってしまいます。 読みの正確化(おそらくvisualizationの能力だと思うのですが)が今の課題の1つです。

hitsujyun さんのコメント...

Walrus さん

奇遇ですね^^; 私の方は記事を1度作成してから、何箇所か訂正しました。

手数は長くても Forcing move が多ければ読みやすいです。気づきにくい手に気づけるかどうかですね。

visualization や正確な読みは Tactics で重要なテーマですね。

visualization は例えば手順が分かっていれば10手先でも局面を追っていけます。しかし、多くの変化が考えられ、混乱したり、迷いが生じると非常に読みづらくなります。読みづらい局面というのはありますね。

脳内チェストレーニングの効果がすごく役立っているという訳ではないですが、局面をイメージするというより、頭の中で駒を動かしていく感覚は、トレーニングにより良い効果を得ているような気がします。

正確に読むのは Forcing Chess Moves の本でも重要視してます。どのように正確に読むかあまり述べられてませんが、そのテーマのところでは正確に読むことが求められる問題が出題されていて、勉強になりそうです。